インド西部、グジャラート州カッチ地方の民族文化のアンティークフォークアートです。
カッチ地方に暮らすラバリ族やメグワール族などの人々が受け継いできた、土壁の装飾やミラーワークの文化の素晴らしい手仕事の一品です。
階段状に重なる屋根のような蓋を持ち、内部には空間が設けられています。大切なものを納める保管庫として作られたものです。
何より心を惹かれるのは、正面を埋め尽くす、自由で色鮮やかな装飾です。
古びた小さな鏡の周囲には、赤、青、ピンク、グリーンなど、さまざまな色の小片が無数に埋め込まれています。
よく見ると、それらは均一に作られた装飾用の素材ではなく、ベークライト、古い樹脂片や、何かの破片を再利用したかのような、不揃いなものばかり。
形も大きさも、色も質感も異なる小さな欠片たちが、作り手の感性によって自由に組み合わされ、ひとつの美しい装飾へと生まれ変わっています。
おそらく、住居周辺に捨てられたゴミ片から拾ってきて、装飾品として使用した物と思われます。
何気ない素材の中にも美しさを見出し、自分たちの暮らしや信仰、受け継がれてきた民芸の中へと自然に取り入れていく。
その飾らない感性と、ものを慈しむような素直な美意識に、深く心を動かされます。
高価な宝石や特別な材料を使わなくとも、身近にあるものを美しいと感じる心と、それを形にする手があれば、これほどまでに魅力的なものが生まれる。
この小さな作品には、そんな民衆の手仕事が持つ、本質的な豊かさが宿っているように思います。
カッチ地方では古くから、鏡を用いた装飾文化が発達してきました。
民族衣装に施される「アブラ・バーラト」と呼ばれる鏡刺繍や、住居の土壁に小さな鏡を埋め込む「リッパン・カーム」と呼ばれる伝統的な装飾。
鏡は光を反射して空間を彩るだけでなく、邪気を跳ね返す魔除けの意味を持つとも伝えられています。
本品にも、そうした土地の文化や美意識とのつながりが感じられます。
また、土を思わせる素朴な表面には、長い年月を経た独特の風合いが残されています。
紙や植物繊維を含んだ張子のような素材で形作られており、手で成形された面の揺らぎや、角の丸み、使い込まれた鏡の鈍い輝きなど、どこを眺めても人の手の痕跡が感じられます。
民芸品や民族美術のコレクションとしてはもちろん、空間の主役となるオブジェとしても。
唯一無二の存在感を持つ、素晴らしい一品です。
top of page
SKU: god155
¥35,000価格
消費税込み
bottom of page

